Pianist 田村真穂 Official Website!!

ピアニスト田村真穂の公式ブログ。
好評を頂いておりました「mahopooパリ通信」の続編となります。日々邁進する私の記録、コンサート情報などを掲載します。
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世界を繋ぐ芸術 〜洋の東西 アジアの隣国 過去と現在
 
客話

日頃、学校や公民館などで、講演のようなことをさせて頂く機会がありますが、今回は、私を国際親善大使としてフランスに留学させてくださったロータリークラブから呼んで頂き、約30分のお話をさせて頂いてまいりました。

以下は、拙話の全文です。

世界を繋ぐ芸術 〜洋の東西 アジアの隣国 過去と現在」     2015.4.30   ピアニスト田村真穂
 
本日は素晴らしい機会をありがとうございます。こうして皆様の前でお話させて頂きますのは、2013年6月9日、創立50周年記念祝賀会のとき以来です。皆様には、国際親善大使として渡仏させて頂いてから今日まで、本当に長い間支えていただいてまいりました。心からの感謝の気持ちを込めて、今日は、自分がどのように考えて活動しているかというようなことを中心にお話させていただきたいと思っています。
 
1、復興支援コンサート
先日25日に起きた、ネパール沖地震。被害にあわれた多くの方々に謹んで哀悼の意を捧げたいと思います。私は、阪神淡路大震災の時、偶然、演奏会で訪れていた西の宮で被災し、九死に一生を得ました。タンスとタンスの間にできた谷間で、私だけが無傷でした。この毎日は奇跡の連続。いつどうなるかわからない。「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬと思えば」親鸞の歌をまた思い出し、日々感謝して大切に生きなければと、改めて考える機会でした。
ロータリークラブの基本理念「ロータリーの目的は、意義ある事業の基礎として、奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある。」ロータリアン一人一人が、個人として、社会生活において、日々、奉仕の理念を実践すること。
何か私にもできることはないだろうかと考え、復興支援コンサートを企画し行いました。その後に起こったハイチ沖地震の時も。これら復興支援コンサートでの収益は、すべて現地にお送り致しました。
 
2、子供の教育 〜THE WHOLE MAN「全人教育」
ロータリークラブの基本理念の第2、「職業上の高い倫理基準を持ち、役立つ仕事はすべて価値あるものと認識し、社会に奉仕する機会として、各自の職業を高潔なものとすること。」
私は、演奏活動と同時に「田村ピアノ学校」を運営し、THE WHOLE MAN「全人教育」をモットーに、現在たくさんの生徒さんと一緒にお勉強しています。教育の目的は、人間文化の6つの要素、「学問」「道徳」「芸術」「宗教」「身体」「生活」について、それぞれの理想である「真」「善」「美」「健」「富」をそなえた調和のある人格を育むべきである。そう。知能、技能ばかりに偏ることなく、感性、道徳の心なども重視して、人間を調和的、全面的に発達させなくてはならないのです。国を作るのは、結局、人。その国に住む一人一人がどういう人であるかが、その国の価値と将来を決める。「教育が人を作り、人が国を作り、世界を作る。」と小原国芳先生の仰るように、私も、教育は、人生の最もだいじな仕事のひとつであると思っています。
音楽を学ぶ生徒さんたちが皆、鳥や花、木々の緑など美しい自然を鋭敏に感じ愛することのできる人であってくれたらいいな…。学校の周囲には美しい薔薇が咲き乱れるようになど、季節毎の美しいお庭を維持しています。両親が(笑)。他には、月毎に詩を掲示しており、ちなみに5月は黒田三郎の「紙風船」。「落ちてきたら 今度は もっと高く もっともっと高く 何度でも 打ちあげよう 美しい 願いごとのように」と、音楽的でとても美しい詩ですが、論語や漢詩の月もあって、生徒さんたちが大人になった時に、「これ、ピアノ学校で子供の時に読んだなぁ。」と、記憶の片隅に引っかかってくれたらいいなと思い、ずっと続けています。
 
3、子供のためのコンサート
2012年より毎年「子供のためのコンサート〜ぴあのとうたとおぺれった」を開催しており、おかげさまで好評で、回を重ねる毎に大盛況になっております。
「このたび1歳から入場できる本格的なクラシックコンサートが実現します!ショパン作曲の「子犬のワルツ」や、ムソルグスキーの「蚤の歌」など、正統派クラシックながら心を捉えて放さない、短く楽しい曲目が、一流の演奏家の手に委ねられれば、そこは夢の世界。乳幼児も飽きさせない本物の演奏が、絶妙な楽しいトークで綴られるコンサートです。ピアニストの田村真穂さんは、国際的に活躍している県出身のアーティスト。第3部には、楽しいオペレッタも上演されます。オペレッタを初体験できるコンサートです!」(NHK紹介文)
この回は、日曜、隔週で持っている「ピアニストとリトミック」というセミナーの一環で、第3部のオペレッタに出演する子供たちを一斉募集し、子供たちの指導、演出をするという大役を与りました。できるかなと不安でしたが、できないと思ったことをやってみようとお引き受けし、約10年間に渡って勤めてまいりました来日オペラの現場でのスキルも総動員。どうしたら子供たちが光るか苦心惨憺、演出し、ひと月ほど稽古を積みました。当日は、ピアノのソロに、2部の歌のステージの伴奏も務め、第3部にはオペレッタのピアノを弾いて、ナレーションまで担当し、ばたばたと大活躍?なんとか成功裏に終えることができましたが、いつもこのように家族や周囲の方々に助けられ、幸せに素敵な冒険をさせて頂いております。
 
4、古典について
クラシック音楽は、文字どおり「古典音楽」です。「温故知新。歴史を知ることは、今を生きることと同じ。」音楽、美術、能、文楽、歌舞伎、建物、ずっと愛され残ってきたものは、歳月に朽ちないどころかますます輝きを増し、時空を超えて多くのことを教えてくれます。
汲めども尽きない泉。古典をいだき、古典に抱かれ、私の選んだ生涯の研究テーマは、クラシック音楽。演奏する場所も、歴史的建造物が不思議に多く、…お手元のチラシでご案内のコンサート(2015年6月21日(日)14時開演)も、場所は、善通寺、偕行社です。陸軍第11師団の将校たちの社交場として明治36年に竣工し、戦後はアメリカ軍が進駐したり、…歴史の証人みたい!重要文化財なのに開放され、市民に愛され親しまれている建物ですね。歴史に触れる喜び。この場所で、どんな人がどんな気持ちでどんなことを行っていたのか、歴史的建造物はいつもわくわく致します。ヨーロッパは、多くが美しい歴史的建造物ですし、国内でも、例えばこの間も「貨幣博物館」を訪ね、ネオバロック様式の荘重な日銀本店に圧倒されました。古く美しい建物は、入った瞬間それぞれの時代にふわっとタイムスリップさせてくれるような気がしませんか?6月21日には、美しい楷行社で、悠久の歴史に思いを馳せ、心をこめて演奏したいと思っておりますので、皆様お誘い合わせの上、是非お越し下さいませ。
 
5、絵画と音楽
私は、どんなに忙しくても1ヶ月に1週間は東京に行くことをライフワークと致しております。少しでもよい演奏をしていく為、よいものに触れなければと、講演会や勉強会に参加したり、美術館巡りをしたりすることを目的として上京しています。ルーブルやオルセー、ピカソ美術館、ミラノ、ベルリン国立美術館、ウィーン美術史美術館、フェルメールの絵を観るためだけにマウリッツハイス美術館を訪れたり、これまでたくさんの絵を観て参りました。帰国後は、飢えたように浮世絵や日本画、仏像や伝統工芸品、国宝など見て回りましたし、先日は、企画展で「ターナー」や「ホイッスラー」、「ホドラー」なども観てきました。
美術館でコンサートの機会も多く、例えば「猪熊美術館」、一昨年は「高松市立美術館」。昨年は「東山魁夷せとうち美術館」で。今年の秋には「香川県立美術館」で開催の予定です。
優れた絵画からは音楽が聞こえる。…ドビュッシーは、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の「神奈川県沖浪裏」を観て、交響詩「海」を作りました。フランツ・リストは、ブリューゲルの「死の勝利」を観て、「死の舞踏」という曲を作りました。音楽も詩も、自然からインスピレーションを受けて作られているから、ドビュッシーやリストが優れた絵画から音楽を聞いたように、人はいい音楽から自然を感じることができると思います。

「〜鳥も湖も森も、人間よりずっと前からこの世に存在していると思うと、私は生きるものすべてに尊敬の念を持ちます。自分も自然の一部だという感覚があり、自然とともに生きているから、鳥のさえずりも音楽になってしまうんです。」これは作曲家のグリーグの言葉ですが、深く共感。先日観たホドラーの絵も、自然を畏敬する美意識でもって描かれていました。題材は、彼の故郷スイスの湖や山が多く、どの絵にも光が溢れ、空気は澄み切っており、じっと観ていると「宇宙のリズム」みたいなものの存在を強く感じました。太陽系に生きている みたいな感じ。「白鳥のレマン湖とモンブラン」。すごい絵でした。移ろう四季。。。潮の満ち引き。。。昼と夜。。。。生と死。。。リズムを描く波紋……。色彩は、形態と結びつくことでより強く際立ち、交代と反復から生じるリズムを規定するのです。
 
6、日本的霊性
私の小さいバックには、よく鈴木大拙の文庫本「日本的霊性」が入っています。「人間は、大地において、自然と人間の交錯を経験する。人間は、その力を大地に加えて農作物の収穫に努め、大地は、人間の力に応じてこれを助ける。……大地は詐らぬ。欺かぬ。またごまかされぬ。」
私はお能が好きで、時折、観劇に行きますが、ある時、能楽の「すり足」を見ていて思ったこと。流刑後、農夫として過ごした親鸞が、田んぼを耕していて、「深く地中に食い込む自分の脚、その素足の足の裏から、大地から送られる巨大な野生の力、無尽蔵の生と贈与の力が流れ込んでくるのを経験した。」と書いていますが、この覚醒…。私も演奏をしている時、これとまったく同じことを感じることがあります。剣道や茶道、俳句など、日本文化の背後には、禅思想という深い川が脈々と流れていますが、私の身体、DNAにもこの感覚が深く刻まれていることを、私もこうして体感しています。日本的霊性。私が生涯をかけて学んでいるのは、西洋音楽ですが、東洋思想が身体に満ちていること、日本的霊性を持っていることを、誇りに思っていますし、大きな武器とも考えています。
 
あらゆるものが、そこに至るまでの因縁の結果として存在すると考える仏教の概念、縁起。輪廻転生、業、諸行無常の概念と日常の営みへの自覚。ふるさとの大地に教えを乞い、その大地からインスピレーションをもらって演奏ができることに感謝し、この故郷でこんな私をずっと応援し見守ってくださっている皆様に感謝して、これでお話を終えたいと思います。本日はご清聴ありがとうございました。
 












 
06:14 | 日々のこと | - | - | author : ピアニスト 田村真穂
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